DrIWAの日記

医療や地域や人や趣味について。日々わくわくすることを探しています。日々の記録として書いていきます。

ACP(人生会議)のその前に

帰省する人が少ない、離島のお盆

いつもより静かなお盆を過ごしています。

高齢の患者さんとの診察室での会話です。

 

私「お盆に家族は帰ってくるんですか?」

 

患者A「今年は帰ってこんよ。近所の目もあるし帰ってくるなって言ったわ。まあ、さみしいけどね。」

 

という方もいれば、

 

患者B「うちはもう何年も帰ってこんよ。仕事が忙しそうやからね。コロナがあってもなくてもうちはそんな変わらんよ。」

 

家族の形や繋がりはそれぞれです。大切なこと、優先事項もその人や家族で異なります。

 

そんな中で考えるACP(アドバンス・ケア・プランニング)です。

 

【ACP】

将来の変化に備え、将来の医療及びケアについて、患者さんを主体にその家族や近しい人、医療・ケアチームが繰り返し話し合いを行い患者さんの意思決定を支援するプロセスのこと。(東京都医師会HPより)

 

「人生会議」という呼び方の方が馴染みやすいでしょうか。

 

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 (物議を醸した厚労省のポスターより)

 

 

ACPを行うために、まず大切なこと

特に高齢者の場合は数週間、数カ月の間でも身体的にも社会的にも劇的な変化が起こりえます。

中には何か月も家族と会ってない、電話すらしてないという高齢者も珍しくありません。そんな状況でACPが円滑に進むわけもなく、現状を理解して受け入れるまでに相当の時間を要するのが実情です。

 

夕食を囲んで、3世代、4世代の家族が介して世間話をするような、そんな程度のコミュニケーションがとても恋しく感じます。

また、祖父母の老いていく姿を同居してる立場から見たり、その介護で苦労している両親の姿をみたり、昔の家庭では当たり前だったことですが、今の社会ではそれは介護施設や病院の仕事に変わっています。(社会と家庭の生産性を上げる為に)

 

この数十年でも世の中は各段に便利になりました。

一方で、気づかぬうちに忙しく働き周り、本当の豊かさを見失わないようにしたいものです。

 

アドバンス(ACP)のその前に、最低限の家族の繋がりが必要です。言葉を造るとすれば、BCP(ベーシック・ケア・プランニング)でしょうか。

 

お盆は家族や祖先と会話を

核家族や実家から離れて暮らす世帯が多い現代社会では、お盆、正月、お祭り、その他いろいろな行事は家族が集合する貴重な機会になっているのは確かです。コロナ禍でその機会が失われるデメリットも感じてしまいます。

 

私は自分や妻の実家に帰ると、かならず仏壇に線香をあげて、先祖に近況報告するようにしています。

その姿を見てか、息子たちは生活の中で『手を合わせた方がよさそうな何か』を見つけたときに必ず立ち止まり手を合わせるようになりました。

 

私の線香にどれだけの意味があったかは分かりませんが、こんな息子たちの背中をみると嬉しくなります。

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息子たちのことなので、「ケーキをたくさん食べれますように!」とか、そんな事を祈ってる気がしてなりませんが、、、今はそれでも良しとします(笑)