DrIWAの日記

医療や地域や人や趣味について。日々わくわくすることを探しています。日々の記録として書いていきます。

五島の空に感じる『万里一空』

ヘリコプターで応援医師を運ぶ仕組み

上五島病院には、週に数回、本土から診療応援の医師がヘリコプターや船を使ってやってきます。皮膚科、耳鼻科、眼科、泌尿器科、精神科などの外来診療、処置を行うためです。

ドクターヘリや防災ヘリは救急患者への早期医療介入や転院搬送、災害対応などで使用するものと勝手に思い込んでいた私には新鮮な光景でした。

離島や僻地の医師数は少ないです。もちろん全ての診療科の医師がいるわけではありません。

そのため僻地にいる医師は出来るだけ広い診療範囲をカバーしようとしますが、やはり特殊な疾患や専門的な処置を要する場合にも遭遇します。

患者さんが困っているが、何とか次の診療応援日まで持ち堪えなければならない、、、そんな状況を私もこの1年で度々経験しました。

なんとか患者さんと踏ん張り、ようやく迎えた診療応援日。そんな日に限って天候が悪くヘリコプターや船が運航できない、ということは離島医療あるあるです。

 

 

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祈るように空を見上げてヘリを待つ。

この写真は、ある冬の日の夕方の空です。翌日に大切な診療応援を控えていましたが一日中続く吹雪に、もうダメかと思いながら空を見上げた時に雪雲の間から見えた、そんな特別な青空です。

救急医として働いているときは、ドクターヘリやドクターカーで患者の元へ向かう側でした。

「祈るように空を見上げて、ヘリを待つ」

たった1年の経験で離島医療の苦労を語るのは恐れ多いですが、今となってはその苦労を知らずにドクターヘリやドクターカーに乗っていた事を申し訳なく思ってしまいます。

患者さんのもとへ駆けつけながら見る空や景色は綺麗でしたが、離島で患者さんと耐えながら見上げる空もなかなか味わい深いものです。

離島で過ごす1年間は何物にも変えがたい時間でした。

 

 

五島の空に感じる『万里一空

万里一空:

どこまで行っても空は一つで、あらゆるものは一つの世界にとどまっていることを表し、現代では意味が広って「同じ一つの目標を定めて、努力を続ける」という心構えの意味で使われる四字熟語です。

昔見たドキュメンタリーか何かでプロ野球選手の桑田真澄が話していて知った言葉です。真似をして、それ以来私の座右の銘としています。

 

とりとめがなくなってしまいましたが、こんな五島の空を見て「万里一空」という言葉が胸に沁みました、というお話です。