下甑島へ、コールメディカルクリニック福岡から医師派遣
「今年度から下甑島に毎月応援に行くことになりましたよ。」
メールにさらっと書かれた一文に鳥肌がたちました。送り主はコールメディカルクリニック福岡の理事長、岩野歩先生です。
北九州や沖縄浦添で救急医として活躍され、その後は在宅医療医として福岡県宗像市で開業、『究極の当事者意識』をもった地域医療を実践されています。ゲネプロのワークショップで講演を聞き、一瞬でその情熱に引き込まれました。
今回岩野先生が診療応援に行ったのは下甑島という鹿児島の離島です。名前を聞いてぴんとこない方も多いと思いますが、ドクターコトーのモデルとなった瀬戸上健二郎先生がいらっしゃた島といえば分かりやすいでしょうか。
瀬戸上先生が退職されたあと、現在は私も所属していたゲネプロの代表をつとめる斎藤学先生、ゲネプロ卒業生の室原先生が着任され、島の医療を支えています。病気だけではなく人、そして離島という特別な地域もひっくるめた医療を展開されています。
そんな離島医療の聖地というような場所へ、遠く福岡県から、在宅病院のコールメディカルクリニックの医師が、毎月応援に行くというのです。
多くの医師が勤務する大学病院からの診療応援でさえも、地方では引き上げが目立つこのご時世に、離島という究極の医師力が試される場所へ、一民間病院から医師派遣ができるとは…。
医師としての実力はもちろんのこと、何よりも熱い気持ちと仲間がいなければ成り立たない、新しい地域医療の形です。
私達ゲネプロ卒業生がめざすべき、ひとつの医師像
この定期的な診療応援は、私の中ではかなり心が震える出来事で
『西武の源田が怪我したので、特別にソフトバンクの今宮が3試合だけ西武でショート守りますよ』
みたいな楽しい衝撃です。
大切なポイントは
①今宮がDHではなくショートでサポートすること。
(住民に不利益がないよう、広い診療範囲をしっかりと穴埋めする)
②サポートに行くのが今宮であること。
(サポートする医療者の実力が担保されている)
③今宮が抜けてもソフトバンクには充実した控えがいる事
(送り出した医療機関のバックアップ体制もしっかりとしている)
余計分かりづらくなっていたら申し訳ありません。
守備範囲の広い本物の総合診療医が、最も効率的に僻地医療に貢献できる形ではないでしょうか。
離島の全ての医療を一手に引き受ける事ができるからこそ成立する形。果たしてそんな医師が日本に何人いるでしょうか。
私たちゲネプロ卒業生の目指すべき医師像のひとつです。