DrIWAの日記

医療や地域や人や趣味について。日々わくわくすることを探しています。日々の記録として書いていきます。

地域医療に最も重要なピースとは ~済生会日向病院~

今回は2週間にわたり済生会日向病院にお邪魔し在宅医療を行いました。

院内の医師、看護師だけでなく、ICTを活用して院外の介護スタッフ、地域全体との情報共有を円滑に行っており、患者さんや家族はもちろんのこと、医療提供者側の満足度も非常に高くなってるのがとても印象的でした。重篤な在宅患者さんも多いですが、随所に患者さんやスタッフの笑顔が垣間見れる素敵な職場環境でした。

『家族の在宅医療はここでお願いしたい』と素直に思える病院です。

 

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多く存在する上五島との共通点、そして相違点

この済生会日向病院は今年3月まで勤務していた上五島病院と共通点の多い病院です。病床数は199床(上五島病院186床)で地域包括ケア病床を有します。また日向病院という名前ではありますが、所在地は門川町になり人口約17000人の医療圏です。これまた新上五島町の人口約18000人と非常に似た規模となっています。また訪問看護ステーションを併設しているのも共通点の一つです。

しかし病床や人口では測れない、地域に合った医療の形が存在します。

上五島病院は診療科目、医師数が日向済生会病院より多く、非常勤・応援医まで含めるとかなりの差になりますが、幅広い疾患への対応が求められる離島という性質から妥当な違いだと感じます。

一方、済生会日向病院は看護師、コメディカルスタッフが非常に充実しており、より診療分野や疾患を絞ったケアが可能となっています。在宅医療についても同様です。

 

地域医療に最も重要なピース

現在、国をあげて進んでいる地域医療構想は間違いなく必要な政策であり、病床のダウンサイジング、機能調整は膨らみ続ける日本の医療費を考えても急を要する課題です。ここ宮崎県は特に病床数、介護施設が驚く程多く存在し、全国と比較しても明らかに将来余剰となることが予想され、この政策の影響を良くも悪くも大きく受ける地域です。

よく『人数』を基準として病床数や機能、必要医師数などリソースが計算される事が多いですが、地域の実情は人数だけでは測れないことが多く(特に離島や山間部など)、また昨今の新型コロナ等の有事も踏まえて再編されるべきであり難しい問題です。

当然の事ではありますが五島列島延岡市や東京都、大阪府など離れた地域でも日本中が地域医療構想に従い、同じ方向に進むダイナミックさは素晴らしいものです。しかし医療従事者や、特に地域住民の理解や認識の地域差はまだかなり存在するように思えます。

 

数字で見るだけの地域医療は五感を使って見る地域医療と明確に違いました。そうであるからこそ、その地域の医療従事者、住民の当事者意識が地域医療の最も重要なピースとなるのだと思います。

 

そのような中でこの済生会日向病院や上五島病院は病院、医療従事者、地域、患者や家族それぞれが当事者意識を持ちながら、時代の流れに歩調を合わせる事ができている良いモデルケースであるように思えました。

 

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済生会病院訪問中は、ちょうど日向地区でCOVID-19のクラスターが発生した時期であり、入院管理や感染対策など慌ただしい中でしたがスタッフ、事務の方には親切に受け入れて頂きました。

病院を回る度に、地域を支える病院スタッフの優しさや情熱に改めて触れることができており、診療の勉強に限らない気づきや成長の機会を与えてもらっています。