DrIWAの日記

医療や地域や人や趣味について。日々わくわくすることを探しています。日々の記録として書いていきます。

生まれた島で最初の仕事

凱旋診療は突然に・・・

この日、私は久しぶりに地元の離島に渡りました。今回は里帰りではなく、白衣を着た医師としてです。

5月は県外の病院研修を予定していましたが新型コロナウイルスの感染拡大のため、改めて研修プランを見直していました。当初、今頃オーストラリアに滞在している予定だったことを思うと、改めてこの1年半あまりの新型コロナの影響の大きさを痛感します。コロナによる予定変更には慣れてきたそんな中、延岡市医師会長の佐藤信博先生からワクチン接種協力の連絡を頂きました。メディアでも取り上げられていますが、ワクチン接種は全国的に打ち手側の人員不足が問題となっています。延岡市も例外ではありません。もちろん二つ返事で参加させて頂き、この2週間は延岡市医師会を中心とした高齢者や施設の集団接種を手伝っています。そしてこの日は、なんとも感慨深い、ふるさとの離島の全島民接種に医師として参加しました。

 

The value of a man should be seen in what he gives and not in what he is able to receive.

人の価値とは、その人が得たものではなく、その人が与えたもので測られる。

-Albert Einstein(アインシュタイン)-

 

島は人口800人程度、全員が知り合いです。ブースに人が入ってくる度に、「けんちゃん!おかえり~・・・」と思い出話が始まります。しかし、ワクチン接種対象者は約600人、この調子では今日中に終わらない・・・雑談を続けたい気持ちをこらえてひたすら問診とワクチン接種を行います。生まれた時から私を知っている人ばかりなので、なかには私をみて「こんなに立派になって・・・」と涙してくれる方が何人もいました。故郷に錦を、というと大げさですが、このような形で地域に貢献できたことは一生忘れられません。

またこの日は、妻(看護師)も一緒にワクチン接種の手伝いをさせてもらいました。8年間専業主婦を頑張ってくれた妻の記念すべき看護師復帰です。憎い憎いコロナではありますが、このように住民から必要とされ、とても喜ばれる形で妻の潜在看護師の卒業を後押ししてもらえたのは嬉しい誤算でした。

 

冒頭のアインシュタインの言葉は、今の医療提供者への言葉のように感じます。医師免許や看護師免許、薬剤師免許、そのほか医療や行政のスキル。まさに今、医療を必要としている多くの人に何かを与えて価値を出す時です。

ここ延岡市は、医師会、薬剤師会、看護師、行政、地域住民が一体となってワクチン接種をはじめ、地域医療に向き合っています。まだ数ヶ月の延岡市民生活ですが、『医療資源は限りあり、脆弱である』という前提のもと、『みんなで守っていく!』という覚悟を随所に感じることができます。

 

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ワクチン接種後にもう一仕事

ワクチン接種後は島民が次から次へと、実家にお礼に来てくれました。それだけで十分嬉しいのですが、「注射おつかれさまー!いっぱい食べて体に気を付けてね!」と本マグロやアオリイカ、カジキに獲れたてのイワシ300匹、、、とても食べきれないような差し入れを頂きました。

 

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ただ、、、

ワクチンを打つよりも、イワシを300匹捌くことの方が医師にとっては大変だという事は、島民にはあまり知られてないようです。メディアにはワクチン接種の大変さだけでなく、その辺まできちんと報道してほしいものです。笑

ふるさとで行うワクチン接種、魚捌きは今までに感じたことのない充実感を私にくれました。

 

また、今回の活動を通じて、改めて自分が延岡や地域住民に与えるものを最大化するにはどうすべきか、考える良い機会をもらいました。