冬来たりなば春遠からじ。
寒波襲来
雪の降らない土地で育った影響でしょうか。
大人になっても雪をみると童心に戻ります。
この日は訪問診療でしたが、積雪に備えて時間を前倒しての出発となりました。久しぶりの銀世界はテンションが上がるものです。マスク越しにも私のソワソワが伝わったのか、訪問看護師さんから、
「先生、嬉しそうだから写真撮りましょうか?」
と声をかけられました。
なるべく平静を装いながら、
「お願いします。」
と返しましたが、写真を見直してみて自分の浮き足立ち具合が恥ずかしくなりました。
『普段との違い』に敏感に気づく看護師はやはりプロフェッショナルだと感じます。
医師、人間としてのスペシャリティ
この日の訪問診療ではいつもに増して、
「こんな中来てくれてありがとう」と患者さんやご家族が迎えてくれました。逆に私たち訪問スタッフの体調を気にかけてくれ申し訳ないくらいです。
診療後にご家族から、訪問時間が変わったから患者さんが慌てて片付けをしてましたと聞かされました。寒いといけないからとタオルや暖房器具を用意するよう指示されたことも笑いながら話してくれました。
患者さんからの心ある言葉や対応は、普段の診察室での挨拶や、診察室の整理などのあるべき姿を医療者に教えてくれます。
救命センターで働いていた時は、嵐のように押し寄せる急患や救急車のため余裕がなくなり、患者さんやスタッフに礼節を欠くこともありました。救急医を一旦離れて、こうして時間をかけて、視点をかえて診療をすることで見えるものが多くあります。
難しい事ではありますが診療科のスペシャリティはもちろんのこと、医師・人間としてのスペシャリティを深める意識や努力を忘れぬようにしたいものです。
新型コロナの感染拡大に大寒波とネガティブなトーンで茶の間のニュースはすすみます。私はそう遠くない春と、必ず来る大回復の時代を楽しみに新年を過ごしていきます。