飯塚病院 パート①
株式会社麻生飯塚病院
今回は飯塚病院を訪問してきました。
特に説明は不要かもしれませんが、福岡県飯塚市に位置する病床1048床、100年の歴史を持つ有名老舗病院です。また、全国から多くの研修医・専攻医が集まる超人気研修病院でもあります。短い時間ではありましたが実際に飯塚病院に入ってみて、外からでは感じることができなかった多くの刺激をもらいました。とりとめがなくなりそうですが、徒然なるままに感じたことを書いていこうと思います。
組織運営はマラソンではなく短距離リレー!
とても規模の大きな病院ですので医師数も非常に多いです。中でも目を引くのが、後期研修医・専攻医と呼ばれるような若手医師の割合が高いことです。一人ひとりがユニークで希望に溢れた目標を持ち、全国から学びを求めて飯塚に集まります。そして数年スパンで全力疾走して、しっかり次の世代にバトンを繋ぎながら、次の場所へ飛び立つようです。絶えず新しく強い風が吹き、組織が発展している印象を受けました。
マラソンではなく短距離走リレー、野球で言えばショートスターターからの継投で試合をしているイメージです。
宮崎県や延岡市の出身者も多く在籍していましたが、地元に帰ってくるという選択肢は、自分の夢や目標にフィットする勤務・学習環境がなければなかなか難しいようでした。地元に帰った私としては非常に胸の痛いご意見ですが、これから乗り越えるべき課題のようです。
『責任感』『使命感』だけを燃料として医療に尽力する時代は少し古くなっているのかもしれません。(現在の新型コロナ診療もそのような面があるかもしれませんが。。。)
『教育』『自己実現』をうまく取り入れ、より広くマクロな視点で「最大多数の最大幸福」を実現できる環境が医療従事者にとっても地域住民にとっても望まれるものなのでしょう。
大好きな後輩にも久しぶりに会えました。とても大きく成長されていました。(色んな意味で)
ゲネプロ卒業生、以前の職場の同僚、研修会などでお会いした先生など多くの再会もありました。御縁に感謝です。
パズルのピースではなく、色のグラデーションで診療をデザインする
大前提の話からになりますが、やはり飯塚病院に根付いた総合診療、ジェネラリズムが良い病院の根底を支えています。心不全は循環器科、骨折は整形外科、末期癌は緩和ケア、などのように疾患で区分する診療体制はどうしてもコンフリクトや医療従事者の疲弊を生じることが多く、救急の現場でもよくぶつかる課題です。そのような問題の少ない診療体制。何がそれを可能にしているかというとやはり『総合診療医』という基礎の広さと、患者さんの時間軸にそった診療体制です。
・救急/集中治療に強い『総合診療医』 →超急性期
・外来/慢性期管理に強い『総合診療医』 →慢性期
・緩和ケアに強い『総合診療医』 →緩和・終末期
というように、総合診療というベースのうえに患者さんの病期(時間軸)に合わせて診療科が存在しています。これにはブラックジャックや、神の手を持つスペシャリストを育成して医療のキャンパスを埋めるような『パズル形式』の医療システム構築では難しく、救急・集中治療の色や慢性期管理、緩和ケアの色を混ぜ合わせながら医療を描いていく『グラデーション形式』の診療デザインです。
疾患にかかわらず、人は人生において必ず急性期→慢性期→終末期をたどります。そのような意味でも患者さんや家族に寄り添った、とても合理的な診療科の役割分担だと感じました。
飯塚病院が楽しすぎたせいで、本当にとりとめのない文章になってきてしまいました。
次回は超アグレッシブで先進的な、飯塚病院:連携医療・緩和ケア科について書こうと思います。